三国志の話(蜀)

より演義に馴染みの深い日本人にとっては、「蜀」は別格である。
吉川英治(よしかわ えいじ)と横山光輝(よこやま みつてる)の功績は、
計り知れない。
日本人が三国志と口にする時、恐らくは吉川三国志か横山三国志であろう。

「桃園の誓い」から「五丈原」に至る大きな物語の流れは、
「蜀」を建国した劉備玄徳(りゅうび げんとく)を中心に進んでいく。

蜀は、小国であったが、劉備の人柄に惚れ込んだ名将の宝庫である。
五虎将と呼ばれた
関羽(かんう)、張飛(ちょうひ)、趙雲(ちょううん)、黄忠(こうちゅう)、馬超(ばちょう)、
臥龍と呼ばれた諸葛亮、鳳雛と呼ばれた龐統、等など挙げれば切りがない。

「蜀」目線で書かれた物語だけに、
この武将たちそれぞれに名場面が用意されており、
作者の術中に簡単にはまってしまうのだ。

三国志入門には、横山三国志を強くお勧めする。
漫画で全六十巻と云う大作にも関わらず、
あまりの面白さに、寝食を忘れて読み耽ってしまうこと必定である。

横山光輝は、兵庫県神戸市須磨区の出身で、
他に『鉄人28号』や『バビル2世』、『魔法使いサリー』、『仮面の忍者 赤影』
と色んなジャンルの名作を残した漫画家である。

さて、蜀と聞いて思い浮かぶもの……、
うーんと、えーっと、ない!

魏には魏志倭人伝があり、呉には呉服があったが、
蜀にはこれと云って思い浮かぶものがない。
強いてゆうならば、饅頭であろうか。

饅頭は、諸葛亮が南蛮に出向いた際、
土地の民達が人頭を生贄に捧げる習慣があり、それを止めさせようと、
生地の中へ肉を詰めて、それを生贄の代わりとした事に始まるとされている。

ここで云う饅頭は、
所謂落語「まんじゅうこわい」に出てくるまんじゅうではなく、肉饅頭のことである。

後は、やはり蜀と云えば、人材であろうか。
と云って、一人一人を解説する事も出来ないので、
ここでは、大好きな関羽について語ろう。

しかし、その活躍振りは、横山三国志に任せるとして、関羽死後のお話である。

関羽は、三国志の登場人物の中で、珍しく神になった。
「関聖帝君(かんせいていくん)」と呼ばれ、
「関帝廟(かんていびょう)」に祀られている。

約束を必ず守った義理堅さから、商売の神として、商人の間で敬われたのだ。
算盤(そろばん)の発明者とも云われている。(本当かどうかはわからないが……)

「関帝廟」は、日本にもあって、有名なのは神戸南京町と横浜中華街である。
私は、関羽の大ファンなので、
行こう行こうと思いながら、一度前を通っただけである。
これを機会に、今度近々行ってみよう。

そうそう。最後にもうひとつ。
私の机の上には、友人のくれた関羽ガンダムが鎮座している……。

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